img_order_bg『グローバル・メガトレンド2015-2050』という予測分析の本がこの3月に日経BP社から
発売されています。

元は、ロンドンを中心に、世界の主要40都市に拠点を持ち、650名のアナリスト、エコノミストで組織されたシンクタンクの「The Economist Intelligence Unit(EIU)」の最新の研究発表で
600ページの圧巻です。
それにしても80万円とは驚きです。

社会、経済、産業、技術などの各分野におけるグローバルな動きと世界の各地域40カ国の
個別の予測も示されています。

●世界に大きな影響を与えるメガトレンドとは次のような問題としています。
・グローバルパワーシフト
・人口と高齢化
・都市化する世界
・未来の新興国・中間層
・エネルギー革命
・気候変動
・世界の食料問題
・未来の戦争
・世界を変える科学と技術

<日本の未来について>
● 2050年までに、日本の経済生産高は中国のわずか10分の1となり、
その他複数の新興国に追い越されている。
● 経済力はアジアにシフトする。インドが中国主導の経済圏形成に抵抗するなど、
世界秩序は波乱に満ちたものになる。
● 2012年、出生率世界平均は2.5人にまで落ち込んだ。
新興国の女性の社会進出が進み、将来は2.0以下にまで落ち込む。
● 世界の都市化は前例のないペースと規模で続き、アジア、アフリカにも大きな波が
押し寄せる。都市化の加速は世界の成長の原動力になる。
● 2009年に世界の中間層による消費の23%に過ぎなかったアジアは、
2030年には59%にまで上昇する。
● 米国は防衛費で世界をリードしているが、2040年には中国が世界最大の軍事大国と
なる。日本、ベトナム、フィリピンの係争水域で領土拡大を進める可能性がある。
● 世界的な食料不足の中、遺伝子組み換え作物が社会的に受容されさらに進歩する。
● 日本は世界一の長寿国であり、2050年には高齢者扶養率が現在の40%から70%に
まで増える。医療費の増大が大きな課題となる。
● 「サイバー空間」が新しい戦場になる。
● サイバーテロリズムが、旧来の紛争と同程度に損害を与える。

もっと劇的に変るかもしれない未来

2050年と言えば今から35年後ということになります。
このレポートの示す変化よりもっともっと劇的な変化があるように思います。
例えば自動車の未来を考えただけで判ります。
有限の化石燃料はいつまでも使えない訳で、自動車は大きく変わらざるを得ない
運命にあります。
省エネルギーセンターの発表しているデータでは、世界の石油消費量は、2012年時点で、
約42億トンでした。その内、自動車、鉄道、船舶、航空機などの輸送のためのエネルギー消費量を石油換算してみると全体の59.4%の約25億トンということになります。
そしてその90%を自動車が消費しています。
ということは世界の石油消費の約半分はなんと「自動車用」ということになります。
2012年の世界の自動車の数は約11億台で、2020年には確実に15億台以上になるとみられています。CO²地球温暖化問題もさることながら、石油の供給量は限界が見えてきていて、自動車業界は、好むと好まざるとに係らず脱石油に進んでゆきます。
ハイブリッド自動車から電気自動車、そして水素燃料電池車など現在は、まだ「夢の自動車」のように見えますが、数年で当たり前になるでしょう。
例えば、石油が1リッター当たり3、000円となったら誰も燃料として使えなくなり、廃棄されたガソリンエンジン車が山と積まれることになります。

実際に、経済産業省は「水素燃料電池戦略ロードマップ」を発表していますが、それによると
2030年の時点で市場規模は1兆円、2050年には8兆円とみています。

自動車会社は今、エンジニアに叱咤激励して、脱石油系の自動車の開発に取り組んでいる
はずです。その開発競争は、正に生き残りを掛けるものです。

繊維の業界も、石油を頼りにはできなくなります。天然繊維に回帰してゆくことでしょう。
化学合成品の多くは石油を原料としていますので、天然の染色に回帰してゆくことでしょう。
農薬も石油を原料としているので、有機農業に回帰する方向ははっきりしています。

未来は、大自然の循環に沿った生産方式に回帰することでしょう。
このメガトレンドにこの点が抜け落ちている感じがします。
それにしてもこんな高額な本は買えないし、本屋さんで立ち読みするわけにもいかず、
いつか誰かが読み終わった本を借りて読んでみたいものです。

平成27年5月13日                  日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男