FiBLは1973年にスイスで設立された組織で、スイス・フリックに研究所を置き、現在、ドイツ・フランクフルトとオーストリア・ウイーンにも研究所があり、オーガニック農業の可能性について研究する国際機関。IFOAMと連携して活動しています。

昨年(2013年)12月5日に研究成果の発表がありました。

テーマは、「オーガニックコットンはGM(遺伝子組み換え)コットンに対抗できる」

オーガニックコットンは遺伝子組み換えのBtコットンよりも収率が悪い。それにも拘らずコストは低いことが示された。*但し、この結果は気象条件や自然環境の条件によって左右されることは考慮しなくてはならない。

インドのbioReプロジェクトとその傘下の農業者たちの努力とFiBLが一体になって得られた成果である。

インドに於いて今やコットン農場の99%でBtコットンが栽培され、オーガニックコットンはわずか0.6%という正に風前の灯である。

しかし、オーガニックコットンが、生産性がよく、収益性も高いということを立証するため2007年以来、FiBLで研究をしてきた。

<イールド低いがコストは大幅に低くなる>

2007年から2010年の3年間のイールド(収穫率:単位面積当たりの収穫量)平均値は一般のコットン生産と比べて14%低かったが、農業者が支払ったコストは38%も低いという結果が出た。オーガニックコットン生産者の収入が良かっただけでなく、借入と返済のリスクが軽減できた。

コストの差は、化学肥料や農薬そして何倍も高い遺伝子組み換えの種の買い入れの分であった。(遺伝子組み換えの種は、一般の種の約4倍の高値と知られています)

ここでも、同じようにオーガニック大豆は7%収率が低くなり、コストは66%減り、小麦は15%収率低下に対してコストは49%減少し、総合的にオーガニックシステムは利益的という結果になった。

FiBLのクリスチャン・アンドレ氏は、この良い結果をみて語った。

「一般のコットン生産者は、栽培を始める時に集中的に種や農薬を買い込む訳ですが、オーガニックの生産者は、農薬も高い種も買わないのだから、大幅に負担は減り、収量はいく分減るものの、小幅で済むため結果的には利益的になることは容易に想像できました。インドのbioReプロジェクトの活動の素晴らしさには注目したいと思います。農業者の訓練が行き届き、オーガニック認証の意義を理解している点が大事で、商品としての綿の扱いも丁寧です。農業者に支払われる価格も相場より15%も高くしていて、意欲につながっていると思われます。(ここで取り上げられているbioReプロジェクトはNOCグループにオーガニック原料を供給してくれています。)

研究チームが懸念しているのは、この度の結果は、オーガニックコットンに転向した農業者を対象に3年間という短期間で出したデータであることで、本当は、もっと長期の推移を見ないと判らないという点です。

さらに異なる生産方式も試して比較しなければならないし、品質という側面も併せて評価しなければなりません。その過程で最適なオーガニックコットン生産システムが見えてくる筈です。

もう一つ期待している成果は、オーガニック農業を続けると土壌の生産力が向上するということです。この効果は既に、ヨーロッパやアメリカでは確認されていて、果たして、この熱帯地域の独特な土壌環境でも、効果を発揮するか今後5年間の研究で見て行くことになります」

<熱帯地域におけるオーガニックプロジェクトの比較研究>

このプロジェクトに係る組織は以下の通り。                              SDC(Swiss Agency for Development and Cooperation,

LED(Liechtenstein Development Service

Coop Sustainability Fund and the Biovision Foundation for ecological development

インドの他、ボリビア、ケニヤでも土壌の研究とオーガニック農業の限界を調査する。

熱帯地域のオーガニック農業の特性を明らかにして科学として貢献してゆく。

 

平成26年3月10日                   NOC  宮嵜道男