TE(テキスタイルエクスチェンジ)2010年市場調査報告

オーガニックコットン市場は右肩上がり

この不景気にも係わらず、世界の主要ファッションブランドは、しっかりとした販売戦略の下で手堅く20%の成長を果たしている。
2010年市場規模4,128億
($5.16billion/80円:$1)
2009年市場規模3,440億円
アメリカ市場、ヨーロッパ市場では、コットン以外のオーガニック繊維の市場全体で見ても堅調で、15%の成長をみせている。

オーガニックコットンの売り上げの推移

それぞれの企業の販売戦略の強弱を反映して、順位は激しく入れ替わっている。中には125%以上売り上げを伸ばす企業がある。特筆すべきは、ディズニーがランクされたことと、ウォルマートが外れた一方ノードストロームやウィリアム・ソノマなどの富裕層向けのブランドが入ってきたことである。

市場予測と繊維生産の行方
このまま年間20%の成長を維持できたとすると2011年の市場は4,960億になり、2012年には7,440億円になる。 経済の後退がある中、商品販売量は軒並み縮小している。
当然ながら、オーガニック繊維の生産も手控え気味になり、在庫が過剰でなければ、そのまま抑え気味に生産を続けるという状態であった。
この事態に、TE(テキスタイルエクスチェンジ)は、大手ファッションブランド各社に対して必要な糸品種と糸量を急ぎ確保した方が良いと伝えた。
2011年の収穫量について、TEの見通しでは、改善しているとしているが、製品製造の人々は、紡績の生産者が、悲観的で継続的な生産が難しいと感じていることを知らない。

その他の95%の綿について
世界的に景気が後退する中でも、大手ファッションブランドは持続可能(エコロジー、フェアトレード)な綿花生産に改善する努力を支持し続けている。
持続可能繊維の意義としてはオーガニックコットンの背景は、明瞭であるものの、オーガニックコットン混用の一般綿の背景についても配慮するように動き出した。

TEは、5%のオーガニックコットン混用品からオーガニックを名乗れるような仕組みを作っているが、その残りの95%の一般綿(慣行栽培)についても改善の方向を目指している。
具体的には、BCIの活動をどう取り込むかの検討である。2005年にスイスでBCI(Better Cotton Initiative)という非営利の会員組織が設立された。目的は、世界の綿産地の自然環境改善で、危険な農薬や過剰な使用を止め、農業者の健康や生活向上、更に産地コミュニティの将来についても考慮していくというものである。

TEは、今後はこのBCIの活動が、一般綿の産地で大きな役割を持って、エコロジーの面でも農業従事者たちの生活改善につながって行く切っ掛けを作るものとみている。
多くのファッションブランドの関係者達も、この95%の一般綿の改善については、強い関心を持っていて、どう取り組むか検討している。全体としていい方向に向かっていると信じている。

環境配慮型の繊維の市場の未来は明るい
2010年はTEがリサイクル繊維や植物再生繊維(レーヨン、とうもろこし繊維)など環境配慮型繊維を加えた最初の年であった。

繊維業界で、従来の繊維生産は、環境配慮の面でどうか?と議論している間に、TEは先んじて繊維産業において、環境を痛める要素は最小にする、社会的損失が起きないよう最善の方法を考えるという基本方針を宣言した。TEが繊維産業に指示して得たデータを見ると、オーガニックコットンのレベルに匹敵するくらい良好な内容だった。しかし、まだまだ改善の余地はあり、調査と具体的な計画を持って進めてゆかなくてはならない。

なぜ 環境配慮型の繊維を重視するのか?
・繊維の廃棄物は、全埋め立て地の5%にものぼる。
・100万トンの廃棄繊維は、毎年埋め立て地を満杯にしている。
・企業の汚染廃水の20%は染色をはじめとする繊維加工工場から出ている。
・2009年において世界は、6,000万トンの繊維を作るために120億トンの水を使った。
・一枚のTシャツを作るのに、2.8トンの水を消費したことになる。
・毎年、世界の繊維産業が使う電力は一兆キロワットアワーにもなり、地球上のカーボンオフセット換算の10%に匹敵する。

以上、 TE(テキスタイルエクスチェンジ)2010年市場調査報告より抄訳

NOCの見解
オーガニックコットンが繊維市場に出現してから、かれこれ20年の歳月が流れました。
20年前というと、世界的バブル経済が破綻して、酔いが醒めたように、周囲を見回し、さあこれからどうするという不安な気分の時代でした。その後経済は概ね停滞しましたが、オーガニックコットン市場は、派手さはないものの手堅く、一貫して右肩上がりの成長をしてきました。スローライフ、ロハスなどの落ち着いた生活観を持つ人々がマーケットの重要なゾーンを占めるようになって、オーガニックコットンのコンセプトは重視されるようになりました。

この度のTEのレポート内容を見ていると、オーガニックコットンは量的にも市場へのインパクトの面でも極く極く小さい存在ではありますが、環境に配慮する、生産者の生活を改善するなどのオーガニックのコンセプトが繊維業界全体に与えた影響は計り知れない位、大きな存在であることが判ります。

この価値観はさらに進んで、倫理的な観点から、動物を虐待するような処置のある製品にも改善を求める気運も出てきました。例えば、鵞鳥の羽毛をむしる工程や羊毛を取るために子羊に施す尻の皮膚の手術ミュールシングなど今まで全く気に掛けて来なかった問題にも目が向くようになりました。消費者が、実態を知ればすぐに販売量に影響するというマルチ情報時代にあって、繊維産業の暗部が改善されてゆきます。

このたびのTEのレポートで、TEもGOTSも、そしてNOCのエコ規定も時代を変える重要な仕事であるという実感をもたせられました。