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イギリスの国際的な出版社Springer Science社は100年以上続く歴史があります。

多くの出版物の中の「環境と科学の橋渡し」をすることをテーマにしたジャーナル誌「Environmental Science Europe」の8月14日(2015年)の記事に                                       インドの農民の自殺問題が取り上げられました。

<記事の要旨>

アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の     アンドリュー・グテレッツ博士が中心となって       行った調査の結果を掲載している。

 

インドの灌漑設備を持たない天水農業地帯の農民の自殺が多い、その直接的な原因は、GMO(遺伝子組み換え)綿花のBTコットンであると結論づけている。

BTコットンは、多国籍企業の農薬会社モンサント社が供給している。           BTコットンの種は高額で、防虫剤の使用も増やすよう強いる仕組みがあり、これが          農民の大きな負担になり生活を困窮させる結果になっている。

アンドラ・プラディッシュ、グジャラート、カルナタヤ、マハラシュトラの4つの地域は、   灌漑のない典型的な天水綿花農業地帯で、2001年から2010年までの10年間に60万人もの  自殺者があり、その内8万人は農民だった。

耕作地の面積が多くなり、収穫が増えると自殺者は減る傾向がはっきりと表れ、 BTコットンを使った地域は自殺が増えているという調査結果となった。

特によく干ばつに襲われるマハラシュトラの地域は別名「自殺地帯」と呼ばれている。

耕作面積の規模と収穫効率は貧困とリスクの尺度と云われる。              BTコットンの農地が増えると 技術のためのコストが上がり同時に殺虫剤の使用も         続けるよう指導される。                                      雨が少ない等、気象条件が悪く、標準以上の密集栽培の弊害から作柄が悪く、種や農薬などの借入の利息も高いとなると、生活困窮に陥り自殺者数が増える。

モンサント社は、インドに2002年頃からBTコットンを売り込み始めている。 コットンに付く蛾の幼虫のピンクボールワームとレピドプテランの被害を避けられる画期期なコットン品種と喧伝された。

2002年頃までは、インドの90%以上の農家は約1128種のハイブリッド種を使っていた。  BTコットンを導入すれば、世界最大の綿花生産国の中国を追い抜けると考え、灌漑設備のある農業地域で栽培が始まり拡がっていった。

結果は惨憺たるもので、特に貧困な天水農業の地域での収穫量が悪く、自殺による多くの   尊い人命を失ってしまった。

インドの綿花生産の仕組みを包括的に分析したこの報告書で、農民にとって生計が成り立つことと明日への希望があるようにしないと自殺者を減らすことはできないとしている。

結論としては、遺伝子組み換え農産物を使って単一的に農業を進めることではなく、    農業は元々大自然を相手の仕事であり、臨機応変に対応できる多様性と地域ごとの特性を  活かした方法を推し進めるよう奨励される、その意味でオーガニック農業を広めるべきと  結んだ。

 

平成28年3月31日                日本オーガニックコットン流通機構

宮嵜道男