11月10日に、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)がアメリカ国債を買い進めるという方針を決めました。
デフレ懸念と一層の景気回復を狙った金融緩和策ということです。
FRBは、有り体に言ってドルを刷る(通貨量をコントロールする)ところです。国債を買うということは、お金が市中に大量に流れ出るということです。
FRBバーナキン議長は「ヘリコプター・ベン」の異名を持ち「不景気なら、ヘリコプターからお金をばら撒けばいい」と言って憚らない人物です。
この大量のドルは、当初の目的から外れて金融資本となって、世界中に波紋を広げています。

日本の輸出産業に打撃を与えている円高もその一つです。

リーマンショック以降、金融制度に手が入り、投機の方向が変わりました。ヘッジファンドのような金融操作ではなく現物商品相場への投機です。
原油価格や金の価格の高騰に始まり、いよいよ国際商品相場が狙われ、相場を押し上げています。

コットンも例外ではありません。
農産物の中で、野菜や果物などのように直ぐに腐るものは、その時々の需給関係で相場は決まりますが、綿のように腐らないものは、相場の思惑に絡み投機の対象になります。また国家間でひとたび軍事的緊張が起きると戦略物資として買占め、価格の吊り上げが行われます。12月1日のニューヨーク綿花定期相場価格はポンド当たり、132セントという高値をつけました。(2009年は50~70セントだった)

高値の原因は、中国の需要が堅調なことと、投機マネーが流れ込んでいることです。いまや中国の綿の消費量は、全世界の40%を占めるというくらい巨大で、相場価格の行方に強い影響をしています。今年の中国の綿花生産量は、過去5年間で最低となり、旺盛な国内需要だけでは追いつかず、不足分の輸入買い付けに奔っていることも原因の一つになっています。

インドでも需要の伸びに対応するため、国として綿花の輸出禁止に踏み切りました。
超長綿繊維の価格も上がってきています。11月4日のアメリカピマ綿の価格は史上最高値225セント(ポンドあたり)をつけて、関係者をアッと言わせました。
昨年5月は110セントだったので倍額ということです。

超長綿の高騰は、綿花相場の上昇に影響されるものの投機ではなく、需要堅調の結果といえます。綿花の相場トレンドは、世界の景気の先をゆくという見方があります。
この相場高騰は、この先1~2年の世界経済の本格的な景気回復の兆しとみたいところです。

オーガニックコットンの価格も、この動きに影響されて、急激に上昇していて、市場の低価格品の蔓延の状況でメーカー、卸しの事業者の利幅が圧縮される事が懸念されています。

日本オーガニックコットン流通機構 理事長 宮嵜 道男