NOCメンバー紹介
オーガニック家具工房・花水木在宅自立車いす

10月の気持ちのよい風の中、伊豆高原の家具工房・花水木さんを訪ねました。
お椀を伏せたような大室山の麓一帯の
リゾートエリアの中に工房があります。
毎年5月には、「伊豆高原アート
フェスティバル」が行われ、この一帯に住む芸術家や工芸家の作品を鑑賞しに沢山の観光客がやってきます。

花水木のオーナーの氷見義治さんとは、もう10年以上のお付き合いです。
2000年に北里大学病院が化学物質過敏症の専用の診療施設を新設する際に、
施設内で使う家具を担当されていました。
当時、NOCメンバー企業のパノコトレーディングは、オーガニックコットン製の衣料品、タオル、毛布、寝具など繊維製品を一手に引き受けて納品していました。

化学物質過敏症の患者さんは、接着剤や塗装剤などが多用された一般的な家具は身体が
反応して使えません。
確かに新しい家具を部屋に持ち込むとしばらく化学臭による頭痛に悩まされることがあります。
頻繁に換気をしても半年くらいは臭います。
化学合成の接着剤で固めた合板や集成材を化学塗料で化粧仕上げしていますので木製と表示されていますが、無垢の木材の家具とは別物です。
家具から揮発する化学物質の量は桁違いで、アレルギー体質の方は、注意しなくてはなりません。

化学物質過敏症の方には、天然材と云っても針葉樹のヒノキや杉といった臭いの強い木材は
基本的には使用しません。その代りに臭いの少ない広葉樹の桜、樺、楓などが選ばれます。

氷見さんは当初、5年以上十分乾燥した材料がいいだろうと産地を探し廻りましたが、保管の
状態によっては、他の資材の化学物質の移染があって患者さんには使えないということが判り、その木材の履歴(トレーサビリティ)がはっきりしていて、天然乾燥した材を選ぶというおよそ一般の家具工房では手を出さない仕事に誠実に取り組んできました。
海外から輸入される木材は、コスト面や扱いやすさの点で有利ですが、やはり輸送中の環境によっては、他の荷物からの臭いが移染する可能性を否定できず、過敏な患者さん向けには使えません。

北里大学病院に続いて国立相模原病院や国立南岡山病院、労災病院など
アレルギー、化学物質過敏症専門診療施設が新設される度に、氷見さんと協力して待合室の椅子やソファ、診療室内の診察ベッド、書棚、医師の机そして、入院の部屋のベッド、椅子、などを納品してゆきました。
患者さんは、病院で実際に触れたこれらの家具の心地よさを知って、退院後、自宅でも使いたいという要望があって、個別の事情に合わせて家具を作り納品してきました。
患者さんからベッドが欲しいという話が来ると、まず何種類かの木材の木端をにおいが
移らないようにそれぞれポリ袋に入れて送り、患者さん自身がどの木材なら大丈夫かをテストするところから始まります。
におわない木材と云っても、それぞれ木材には異なったにおいがあり、人それぞれ好みに合うかどうかを選択します。
組立には接着剤を使わず、ホゾカマチ組み、本サネ組みといった方法を使います。
家具の軋みを防ぐためには、部分的に天然のニカワを使います。
塗装はできるだけしませんが、患者さんの反応程度を確認して蜜蝋ワックスで表面仕上げする
場合もあります。
氷見さんは、化学物質過敏症の患者さんのための家具づくりに取り組んで15年以上の経験と実績を重ねて来られ、この分野の第一人者です。
氷見さんのまなざしの先には、いつも弱者がいて、病気で苦しむ人や体の自由が利かなくなった高齢者介護のための家具を現在、開発しています。

健常者も、このような安全な家具を使うことは、決して贅沢ではなく健康や快適性の上で最良な選択と云えます。

㈲家具工房花水木
〒413-0235 伊東市大室高原7-104
電話 0557-33-6668
平成26年11月7日                日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男