街を歩いてみると、安売りのお店が鎬(しのぎ)を削っています。商品を手にとって見ると“なんでこれがこの値段で売れるのか?”という素朴な疑問が湧いてきます。

小売店の利益、問屋の利益、メーカーの利益があってこそ成り立つビジネスとすると、原材料のコストがいかに低いかが分ります。多くの原材料が発展途上の国からやってきます。

自動販売機に150円分コインを入れて一瞬の清涼感を味わいますが、この同じ150円で貧困地域に生きる人々は一日の命を繋いでいます。原材料の生産者は多くの場合こういう人々です。

東南アジア、インド、アフリカなどの貧困層の人々の立場は極めて弱く、劣悪な環境で働き一方的な低い賃金で働いています。これはかつて明治時代日本にもあった女工哀史「ああ野麦峠」のような昔の話ではありません。昨日今日の話なのです。

たまたまこの同じ時代、同じ地球に産まれ生きている人々に広く目を向けることは大切なことです。かのマザーテレサは次のような言葉を残しました。「私たちにとって最大の敵は何か。それは無関心なのです。つまり愛の反対は憎しみではなく無関心ということです」。

日本のような豊かな社会に住む人たちがとりわけ貧困の境遇に置かれた人々に関心を持ち、支援の気持ちを拡げてゆくことが必要です。

目先のことに夢中になって生きている人には、どこかの遠い国の他人事として意識にも上ることはありません。しかし一方、自らを、そして人類を高い視点で見ることの出来る昨今のLOHASな意識を持った人々には、放っておけない関心事になります。このような感性を持った消費者も急速に増えています。古くはWE ARE THE WORLD、最近はAFRICA AIDなどの世界的な成功、日本でもほっとけない・ホワイトバンド運動の盛り上がりなど若い世代の人たちを中心に地球規模で、ものを考えられることに価値観を見出していることが見て取れます。今後、商品にはこのテーマが取り入れられていなければ成り立たない時代が予想されます。

NOCコットンのテーマは3つ、農薬を使わない綿花の普及(環境)、化学薬剤処理をしない加工(環境、健康)そして、途上国産地の経済支援(フェアトレード)です。

オーガニックコットンの認証基準の中には不当な労働を禁じる項目があり、もとよりフェアトレードが実践されていますが、NOCコットンの方針として、出来るだけ支援に結びつく産地の原綿を選択して買い付けています。

NOCはスイスのリーメイ社が進めるインド、アフリカのビオリプロジェクトに協力しています。このプロジェクトは貧困に苦しむ在来の農薬農業から有機農業への転換を推進しています。結果として農業者は農薬の重い支払いから開放され、有機認証を取って農作物が継続的に高値で買い上げられることで実質の所得が格段に向上します。生活は安定し、家を直し、家畜を飼い、新鮮なミルクを子供たちに与え、学校にも通わせられるようになってゆきます。この他各種の農業設備の改善、有機農業訓練指導など物心両面で支援しています。

NOCマークの付いた製品にはすべてこの支援のコストが含まれていますので、お買い物いただきますと商品を通じて確実に支援をしたことに繋がります。

日本オーガニックコットン流通機構 理事長 宮嵜 道男