たまたま読んでいた本の中に、素晴らしい表現で世界の不遇な子供達の現実を映した一説があります。
「ブラジル オン・ザ・ロード」(著者石山和男 ㈱ビレッジセンター出版局)ブラジル3万キロの行程をオートバイで旅した紀行文です。外国の貧困な地域に行って、その悲惨さを見てもエアコン付きの自動車のガラス越しだと、テレビの画像を見ているような他人事のようにしか感じることは出来ません。

この本にあるようにオートバイで生の風を受けて走る旅だと、そこにある現実は、痛みのある生身に触れて、放っておけない義憤にも似た気持ちに揺り動かされます。
そこにいる子供達の会話も臭いも体温も、身近にした者にしか書けない迫力のある文章です。

日本に住んでいると、このような現実は絵空事のようにしか感じられません。

日本の社会は、信じられない位、豊かで満ち足りて、子供たちは大事に扱われ、秩序が守られ、安全も誇りも確保されています。
日本に生まれた破格の幸運を認識したら、次にすることはこの幸運を不遇の人たちに分けてあげることじゃないでしょうか。

NOCオーガニックコットンが進めるフェアトレード、児童労働反対、貧困救済の運動の意義を知って欲しいと思います。

ブラジル オン・ザ・ロード(1997年9月5日発行)
第5章 バイーアの写真  189ページから190ぺージより

世界に二億人以上の働く子供たちがいる。
その中には、泥棒もいれば、ヤクの売人もいる。
幼いカラダを売る少女もいれば、戦闘員としてジャングルや瓦礫の上を駆け回り、人を殺すことが正義であるとカラダを張っている少年もいる。
通常の殺戮はもとより、地雷、不発弾、飢餓、疫病などで命を落とす子供は、十年間で200万人。
重傷者にいたってはその三倍の600万人以上にのぼるという。
そしてそれ以外に計算できないほど多くの物乞いの子供たちがいる。
日本人のように世界規模で文明の進化が達成されたと考える事は、間違いである。
この南アメリカ大陸でも、アフリカでもアジアでも、今この瞬間に腹を減らしている子供は億単位で存在するのだ。この国でも、子供の80%が腹を空かしている。生きようと懸命にもがいている小さなカラダが食事を欲しているのだ。
よく「オマエの国では何パーセントの子供たちが腹を減らしているんだ?」と尋ねられた。
ブラジルの子供たちの現実を見てきた僕は、とても「ゼロパーセント」とは言えない。
彼らも10とか20という言葉を予想しているだろうが、ゼロだとは夢にも思っていないだろう。
ブラジルでは子供が働くのはあたりまえのことだ。
真夏の海岸、観光地、飲み屋、農場、牧場、洗濯場、川泥のなか・・・・
ピーナッツ売り、チーズ売り、ヒモ売り、タバコ売り、キリストの教えを書いた紙を売る者など、様々な超薄利商売で生計を助けている。
そのほとんどが親の命令だ。家族が食っていくために働かされているのならまだいい。
ところが、親の飲み代を稼がされている子供もいる。
稼げないなら盗んでこいと命じる親もいるのだ。
この国では、小さな手のひらで掴んでもほどけてしまいそうな収入であっても、仕事があるだけまだましなのだ。

日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮嵜 道男