獣の世界では、ひとたび弱みを見せると一気に襲われる過酷な運命があります。トラビジネスの世界も同じように手負いの競合先に襲い掛かり、呑み込んでしまうことは日常茶飯事です。

ドイツの大手製薬会社のバイエルが、手負いのアメリカ農薬会社モンサントを6.8兆円で買収提案を出しているといいます。モンサントは昨年の決算で、急激な業績悪化を見せました。モンサントは、殺虫剤ラウンドアップで一世風靡した農薬メーカーで、遺伝子組み換えの種子と農薬を組み合わせて世界中で活動しています。

農薬の発がん性や遺伝子組み換えの催奇性の問題など、多くの人々の心配の種になっています。もともとこの会社は、サッカリン、PCB、DDT, アスパルテーム、牛成長ホルモンなど社会問題になるような化学薬剤を作ってきた会社だったのです。

綿花栽培の分野では、あの悪名高き「枯葉剤」の製造をしている会社でもあります。

売り上げを25%も落として4,983億円、純利益も24%落として1,156億円を計上しました。従業員のリストラも2年間で2,600人を計画しています。

破竹の勢いで世界の農業に浸透していったモンサントのかつての雄姿はありません。

世界の大手食品会社が、揃って遺伝子組み換え(GMO)を避け始めています。

チョコレートのハーシー、ハーゲンダッツアイスクリームのネッスル、乳製品のダノンなどがGMOの材料をなくす方針を発表しています。アメリカのバーモント州ではいち早く、GMO の表示を義務づける法律を成立させました。

この他、ゼネラルミルズ、キャンベルスープ、ケロッグ、マーズなど、おなじみの各社が、オセロゲームのように反GMOに裏返っています。

全米50州のうち30州以上の州で反GMOの法案が検討されています。       この背景には、アメリカでの世論調査で成人の75%がGMO表示を義務化すべきとしていることを重く見ているわけです。                                          メーカー各社は、消費者の支持を得られなければ、即マーケットから退場の憂き目にあうことをよく知っているわけです。

世界の街でMarch Against Monsanto(反モンサント大行進)が繰り広げられてきましたが日本でもモンサント社の世界戦略に危機感を持った人々によるデモ行進が、5月21日に東京で行われました。

ところが、このデモがあったことを知る人は、ほとんどいません。

それは、政府がアメリカの意向を汲んでGMOを問題にしないように働き、テレビ新聞のマスコミがそれに追従しているからです。

欧米諸国では当たり前にGMOはNOと云っていますが、日本はこの分野でもガラパゴス化が進んでいるようです。何とか広く知らせなくてはなりません。

日本の消費者が、反農薬、反GMOに潮目が変わった時にオーガニックコットンの「価値」が理解されるようになるのでしょう。

平成28年6月8日         日本オーガニックコットン流通機構        

宮嵜道男