日本・日本人のエシカルな特質
その三Chrysanthemum

 

<決まったら、動きは速い日本>

環境技術の優秀性についてですが、日本の自動車の性能が良く、石油の精製が 優れているので、街の中がガソリン臭いということがありません。
外国では、街そのものが、ガソリン臭いと感じることがあります。メキシコシティに行ったとき、ホテルの17階の部屋に泊まりましたが、窓を開けると甘ったるいガソリンの臭いが入ってきて困りました。
そんな高いところまで排気ガスが街に充満しているのかと驚いたことを思い出します。
今でもなにかの加減で、甘いガソリン臭さを感じると、メキシコシティの旅の思い出が鮮明に蘇ります。
日本には厳しい車検制度があって、排気ガスの規制をしているのでほとんど臭いません。都会の空気の質のためには車検制度が、立派に機能している訳です。
また、かつてヘドロで悪臭のドブ川だった隅田川で、最近ではカレイの稚魚がいっぱい見られるとか、ボラの大群がいるとかすっかり自然が戻ってきています。
環境意識が高まって、排水についても官民で対策を講じてきた結果の表われです。
こんなに短期間に変われる国も珍しいと海外からも注目されていました。
いったん死んだ環境を回復するのはそんなに簡単なものではありません。
これは、やはり浄化の技術の力が大きいと云われています。
日本の浄水フィルターや脱硫排煙装置など環境装置は、世界で群を抜く技術を持っています。
カメラや音楽レコーダーや自動車を作るのがうまいばかりでなくて、日本はありとあらゆるテクノロジーが発達しています。それも平均的に万遍なく発達しています。
日本人の特性として、勤勉性の他に持つ特質として多様性があります。

多様性と云えば日本人の苗字の多さは世界の国々と比べて群を抜いています。
中国は、3、500、韓国250、ヨーロッパは全部合わせて5万、もっともフィンランドだけで3万を占めます。
そして日本、30万です。これは、強い自己主張のようにみえますが、そうではなくて苗字をそれぞれの人が新たに作ってぶつからないようにしているのです。棲み分けの考え方が自然に備わっています。
職業の種類が多いのもそんな理由からでしょう。
日本の技術が多岐にわたり優秀と言うのは、誰かが一つの技術を追求していると、同じことで競わず関連の技術を磨いて協調してゆくのです。
良いと思ったらパッとやる。それをどんどん進めてゆく。世界的に通用する色々な技術を沢山身につけている国民なので、何か1つテーマがあったら、それを解決する為の技術が多様にあり、雪崩を打つように各社が取り組み、レベルの高い製品を作り上げて行きます。
ちょっと古くなりましたが、アメリカとソ連(現在のロシア)の冷戦の時代の有名なジョークにこんなのがあります。
「アメリカが新しい技術を高らかに発表するとソ連は即日に、その技術はすでに10年前に知っていたと発表する。するとその翌日には日本からその技術を使った製品が、アメリカに向けて船積みされる」
ノーベル賞は、この度の大村さん、梶田さんの受賞で、世界ランクが上がって7番か8番目でしょう。それ程多くはありませんが、特許の件数では日本は世界一です。
テーマがはっきりして方向が決まると力が出ます。具体的な生産技術などは得意分野です。
ある問題を粘り強く解決していくという能力も優れています。
日本の技術力は、昨日今日のことではありません。有名な話ですが、鉄砲伝来の歴史です。
1543年、種子島にポルトガルからの船が漂着しました。そのとき2丁の鉄砲が差し出されました。
それから鉄砲の威力に感心して、開発が始まりました。当時の刀鍛冶の人たちが鉄砲作りをしました。色々苦労話がありますが、その中にちょっと悲しい話も残っています。
当時、鉄砲の部品にネジがありました。当時の日本人はネジと言うものを見たことがなく、作り方もわかりません。そのネジは、重要な役割をしていました。
そこで刀鍛冶は娘さんを、ポルトガル船の船長に差し出して、ネジの作り方の情報を取りに行かせたのです。苦労の末、とうとうネジの技術を会得して、大量生産されるようになりました。
それからわずか32年後、長篠の戦で、織田信長は強敵武田軍を3000丁の鉄砲隊で撃破してしまったのです。
その年代の世界の国でそれほどの大量の鉄砲で組織的に整然と戦った国はありません。
430年前に工業生産力ナンバーワンだったのです。
不思議なことにその後、鉄砲は普及せず、刀に戻ってゆきました。
ここが面白いのですが、大量に殺傷する武器は、好まなかったのです。
飛び道具は卑怯だと言う価値観で廃れてしまいます。
このバランス感覚はまさにエシカルなセンスです。

平成27年10月13日           日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男