ある日、義理の妹が、娘盛りの姪がおめかしして287322出掛けるのを見て「あらどこに行くの?」と母親として問い質すと、姪は、ニヤッとして「ノーノー、個人情報よ!」     と言ってスタスタと出掛けたそうです。

事業を行う上でお客様の名前、住所を保存する場面は日常、当たり前にあります。

この名簿は、個人情報保護法という法律で規定されていますので取り扱いには十分に気を付けなければならない時世になりました。

個人情報保護法は、平成15年(2003年)に公布され、2年後の17年に施行が始まりました。27年に改正があり、マイナンバー制度との関係から今年28年1月1日より再度改正が行われました。

この法律の所管も消費者庁から新たに個人情報保護委員会になり勧告・命令などの権限が一元化されています。

さて、当レポートの目的は、日常の営業活動で「個人情報保護法」をどう捉えるべきか考えることです。

そもそも個人情報とは、生存している人の(故人は関係ありません)氏名、生年月日、住所などその個人が特定できる情報ということになります。メールアドレスは、個人が識別できない限り個人情報の扱いにはなりません。

この法律の目的は個人の権利利益を保護することとしています。

この法律ができる背景は、不当に名簿を売り買いしたり、高圧的に個人情報を聞き出したり、名簿から削除を要求することもできなかったという問題があって、このような法律が出来ました。

ここで注意しなければならないことは、個人情報とプライバシー保護問題です。プライバシーとは、私生活の干渉ということで、侵害されたときは民法の不法行為や刑法上の名誉棄損罪になり、全く別次元のことです。

年賀状などで使う住所録は対象になりません。この法律はあくまでも事業者が対象で一定の目的をもって継続的に個人情報を取り扱う者としています。営利か非営利かは問いません。

学校や町会、クラブ活動や趣味の会の会員名簿は大きく見ると対象になると云えます。このような名簿を第三者に提供する場合は本人の合意が必要となり、本人が削除を要求した場合は速やかに対処しなければなりません。病院で診察を待っている時、看護師さんが名前を呼びますが、これは個人情報に当たり、病院は要求されると名前ではなく番号とかに替えなければなりません。

ここでこの法律が対象とする「個人情報取り扱い事業者」について見てゆきます。「過去6か月間に5,000人以上の名簿を扱う事業者」という取り扱い規模が、この法律の取り締まりの対象になります。それ以下の事業者は、法的な規制を受けません。

それでも法律改正の度に、厳しくなる傾向がありますので、やはり個人情報の取り扱いには配慮しなければなりません。

「個人情報取り扱い事業者」でなくても、不適切な取り扱いにより個人が損害を被ったり、権利を損ねた場合は、個人情報保護法の適用がなくても民事責任を問われることになります。

そこで個人情報保護取り扱い事業者ではない小規模な事業者が、わきまえなくてはならない取り扱いの注意点を挙げてゆきます。

・個人情報となる名簿をコピーした場合でもオリジナル(原本)と同じように配慮して扱う

・集合写真など画像や音声も個人が識別できるので個人情報になるので注意する。

・住民基本台帳から住所氏名を書き写して見込み客リストを作ることは違法。

・従業員の名簿は個人情報に当たる。

・名簿の利用の目的を変えることはできません。

・電話帳や本、雑誌にある名簿はそのまま使う分には問題ないが、その個人情報をある目的をもって編集し改めて見込み客名簿として作ると個人情報保護の対象になる。

・個人情報データベースとしてコンピュータ上または紙上問わず規制対象になる。 但し、6か月以内に消去する一時的な個人情報データは対象外として扱われる。

・市販の名簿や本、雑誌の名簿は、そのままごみに出せる。

・個人情報に当たる名簿はできるだけシュレッダーなどを使って再生不能な状態にしてから捨てたい。(法的にシュレッダーで処理する規定はない)

以上個人情報保護法の周辺について見てきましたが、被害があったという個人が訴え出なければ何も起きません。「個人情報取り扱い事業者」と云っても特に登録する必要もありません。

通販会社の社員が顧客名簿を保存したCDを紛失したとか、ネット上でメールのやり取り中に名簿を漏えいさせてしまったというような事件がありましたが、これがこの法律の取り締まりの対象です。

日常業務の中でそれほど気にする必要はなく、名簿は法律の網の中にあるということを意識するくらいで十分と思います。

 

平成28年4月6日             日本オーガニックコットン流通機構

宮嵜道男