こんなひどいことは止めにしたい。

人間が品種改良して体のサイズ以上に皮膚の面積を増やし、羊毛がたくさん取れるようにしたのがメリノ種と呼ばれる羊。オーストラリアでは主流になっている。欠点はおしりの周囲に排せつ物がついてしまい、そこに特殊な蝿が卵を産む。この蝿はアフリカ原種。

フライ・アタックと呼ばれウジが孵化すると皮膚から内臓を食い破り、子羊は生後1年以内に死んでしまう。長い間苦しむ哀れな死に方になる。
そのためにオーストラリアで編みだされた対処法がMulesingで、生後2週間以内に子羊の尻尾も含めたおしりの周囲の皮膚をハサミで切り取ってしまう。再生した皮膚は皺も毛根もないツルツルの状態になりフライ・アタックの被害に遭わない。
痛いけど一瞬で、抗生剤を使って回復できる。

これが動物愛護協会などから野蛮な行為と指摘され、世界の有名ブランドのH&Mアディダスなどが、ミュールシングをしたヒツジからのウール製品は買わないとなった。

オーガニック認証GOTSでも「ミュールシングをしたら、オーガニック・ウールとは認めてはいけないのではないか」と2010年の基準改定の会議の時に提議された。
GOTSの技術担当委員会は「これは野蛮な行為だ」として規定しようかどうか検討を始めた矢先、オーストラリア業界が自主的にミュールシングの禁止措置を取ったとの報告があった。そこで改めてGOTSは、「フライ・アタックはコントロールできるのか」と問い合わせると「とりあえずウールの輸出のために仕方なく禁止した。犠牲になる子羊は相当出るだろう」との返事だった。「痛み止めを与えて、術後の抗生剤を使って治療したらどうか?」と提案すると「そんなことをしてオーガニック・ウールとして認証できるのか? まさにケミカルの対応になる」と逆に指摘されてGOTS担当者は頭を抱えてしまった。

GOTSとしては現状では、これをVersion 3.0には反映させず、今後どうするか関係団体と協議してゆこうということになった。要するに判断できないから先送りにした。
他にも、鳥の羽根のダウンにしても、生きたまま羽根をむしるという残酷な作業がある。
フォアグラもガチョウに無理やりに食べさせて、脂肪肝を作り高級食材にしている。

もうそろそろ、商売優先のこれらの悪行を止めて「倫理」エシカルセンスをビジネスに取り入れていかねばならない。
一番大事なのは、消費者がそのことを知って、買い控える事である。
これが一番の近道かも知れない。

日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮嵜 道男