<デトックス・ウォーター・キャンペーン・水質改善運動

「デトックス」という言葉は、ずい分前に女性の間で新しい美容法のように流行りました。
身体の中の不用物を排泄してすっきり健康になるという便秘解消くらいの記憶しかありませんでした。

本来、デトックスは「detoxification」で、解毒とか無害化という意味でした。

さて捕鯨反対運動で有名な国際組織「グリーンピース」が、お馴染みの大手ファッションブランドの中国工場が環境汚染を起している事実を突き止め、改善するよう行動を起しました。その名も「デトックス・ウォーター・キャンペーン」です。

アディダス、ナイキ、プーマ、H&Mそして日本のユニクロなど華やかな表側の顔の裏側で、有害化学物質を垂れ流しているというショッキングな報告をしています。

繊維関係の工場が川や自然を汚すといういわゆる公害問題は、日本でも40年位前には当たり前にありました。その後、時代は進んでほとんど解決した問題と思い込んでいました。

企業の社会的責任CSRの欠如は、消費者の好感度に大きなダメージを与え、何億円ものコマーシャルの効果を殺いで、売り上げに悪影響するという時代になって、各企業は、この点は慎重にしている筈でした。

ところが、グローバル・ファッション各社は、激烈な低価格競争に血眼になっているうちに、一番大事なところが疎かで、恥ずかしいところが明らかになった形になりました。

<調査の経緯>
今年の7月から、グリーンピースの世界中の拠点が、この汚染問題に注目して調査を始めています。
前述のファッション企業と関連する中国の2つの繊維加工工場(Youngor Textile City Complex社、Well Dyeing Factory Limited社)の廃水の水質調査をした結果、廃水中には、残留性や生物濃縮性のある有害重金属や環境ホルモンが検出されました。

更には、衣類など製品からも有害物質が検出されたとあって、にわかに身近な問題になりました。遠いどこかの国の汚染の話ではなく、いま自分が着ているお気に入りのシャツの安全問題でもあるのです。
グリーンピースから、このことを知らされた各社は、口を揃えて「2020年までには、有害物質をゼロにする」と胸を張って宣言しました。
という事は、今後9年間は、我慢してくれという事のようです。
巨大なサプライチェーンは、そう簡単には修正がきかないという硬直性を改めて示しています。

有害な廃水ならば、今日にも止めなくてはならないのではないでしょうか?
グリーンピースが組織した調査チームは、世界中で売られている衣料品から布製の靴まで検体として買い込み、有害化学物質NEPの残留を検査し、すべての製品から検出されたとしています。

NEPは、ノニル・フェノール・エトキシレートで、酸化防止剤、界面活性剤、ゴム質の劣化の防止剤として使われています。

これは、内分泌攪乱物質いわゆる環境ホルモンで、低いレベルでも食物連鎖のサイクルで残留し濃縮される厄介な化学物質です。川や海に住む生き物の繁殖を阻害します。

また皮膚にも影響があり時に痒疹や脱色を起すおそれがあります。
サンプルとなった製品は、今年の4月から5月にかけて、北半球、南半球の18カ国で15の有名ブランドの製品78点を紛い品を避けるため、旗艦店を中心に正統な売り場で購入しました。

天然素材あり化合繊ありで、メンズ、レディース、子供服のシャツ、ジャケット、ズボン、下着、布製の靴など幅広く揃えました。
下げ札には、13カ国で製造された事が示されていましたが、なんと3点は製造元さえ明確になっていないということも判りました。

<15のブランド>
ユニクロ、アディダス、ラコステ、カルバンクライン、ラルフ・ローレン、GAP,H&M,Nike,Puma,、Kappa,Abercombie&Fitch、Converse、G-StarRAW、Li Ning、Youngor
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グローバルな大規模・生産サプライチェーンというものは、ブランドとしての統一性が最優先されます。
同じ形、同じ色、同じ機能を提供してこそ「ブランド」として存在できるという宿命があります。

それを守るためには、化学処理を駆使していかなければなりません。
安全性、環境適応性に目をつむり、原料や生産加工に係わる労働コストを厳しく見ないと成り立たないビジネスモデルだということが判ります。

これに対して、NOCが進めるオーガニックビジネスは、天然の材料の質を変えずにいかに快適におしゃれに活用できる製品を提供できるかに知恵を使っています。

そしてあくまでも目の届く範囲の生産規模に止め、地域特性を尊重していくため、環境保全はいつでも根本のテーマになるビジネスモデルです。

平成23年9月1日
宮崎道男