明治時代、政府・内務省技術顧問として日本の河川や砂防の土木事業のために来日したオランダ人技師ヨハネス・ デ・レーケさんは、日本の川を見て地形的に勾配がきつく、世界的にも珍しいと驚きました。  「これは川ではない、滝だ」と云ったと伝説になりましたが、実は、「日本の川が、急流なのは、大きな滝がないからだ」と言ったのを通訳が間違ったようです。

2011年の東日本大震災による原発事故が起きて、日本中電気エネルギーのことが頭から離れなくなりました。原発事故はあまりに悲惨で、「もうコリゴリだ」という気持ちの国民が大半になりました。

そうなると、原発や石油・石炭でない発電の方法に脚光が当たりました。太陽の光で発電、風で発電、海の波で発電、ごみの焼却で発電、バイオマスで発電、地熱で発電、ダム発電、はたまた橋の振動で発電そして日本の急流を利用した河川の小水力発電等々、どれもキラ星のように輝き始めました。

電力業界の堅い利権構造も、とうとう壊れはじめ、政府も既得権益を守ってきた許認可を緩め、小規模な発電事業が成り立つようになってきました。

例えば、小規模の極、「農業用水の発電」でさえ、とんでもない利益を生むことが判ってきました。

新聞によると岐阜県中津川市加子母、小郷地区の農業用水を使って水力発電設備を設置したら中部電力からの売電売り上げが毎年4,900万円になりました。

耐用年数は20年で、7年で事業費の元が取れて、その後13年は丸儲けと云うことになります。浮いたお金はこの地域の農業振興に使われるそうです。

愛知県豊田市でも現在農業用水発電の工事が進んでいて、この春には稼働します。こちらは年間で1億円の収入が見込まれています。

農水省は、今後全国23都道府県の用水発電候補地を決め、事業を進める態勢に入っています。流れる水を見て感傷に浸るのもいいですが、見方を変えれば、エネルギーそのものだったのです。

どうして今までやってこなかったのか悔やまれます。先の震災は幾多の悲劇を生みましたが、せめてもの慰めとして、日本のエネルギーの明るい未来を見せてくれる結果となりました。これからは、何でも発電に結びつけなくてはなりません。新しい発想の発電がどんどん生まれるよう努力して日本列島すべて再生可能エネルギーで占めなければなりません。

そしてこれらの地産地消型発電は、いままでの電力会社の利益集中収奪方式と違い、各地域に利益が残る事業ばかりです。

日本の農業用水路は、総延長40万kmで、地球10周分に相当し、7,000か所のダムに相当します。

このように、日本は実は、火山エネルギーも入れて、エネルギー大国だったのです。石油や原発の発電は、一部の特権を持つグループの利益になる強固な構造が作られ、意図的に再生エネルギーの脆弱性を喧伝して、いくつもの萌芽を潰してきていたのです。

素晴らしい素質がある子に、「お前はダメだ」と云い続けて来たのです。いまだに「再生エネルギーに頼るのは無責任だ!」と声高に云う政治家がいますが、これこそ不見識と云わざるを得ません。

農業用水のような小さい規模の発電でも、ちゃんと儲かると判った以上、新規参入する事業者は増えて、活気づいてゆくでしょう。

日本の豊かなエネルギーの世界が見えてきました。

発電もオーガニックの時代です。

 

平成26年2月14日                    NOC  宮嵜道男