「うさぎと亀」と「アリとキリギリス」の童話を思い出してください。

うさぎは亀との徒競走に負けました。
キリギリスは、アリが冬の食糧の蓄えをしているのを
横目で見ながら楽しく、歌って過ごしたので、
やがてひもじい思いをしました。

うさぎとキリギリスは、どうしたら逆転できるのでしょうか?
その答えは理論化されていました。

TOC(Theory of Constraints・制約条件の理論)コンサルタントの岸良裕司氏の新しい著書
考える力をつける3つの道具」の発表会に行ってきました。
TOCは生産ラインで問題になっている制約条件を探し出して、全体を最適化してゆく手法を
普及させようとしている組織です。

岸良さんは、絵本作家の奥様と一緒にうさぎとキリギリス敗者復活物語を作りました。

ある時、キリギリスは、腹をすかせながら、勝負に負けてうなだれているうさぎのところへ出かけました。
そして、お互いの後悔を嘆きあいました。
後悔の言葉が出尽くすと、どちらからともなく解決策の話になりました。
うさぎがキリギリスに言いました。
「君は歌うのが好きで、歌がうまいんだったら、もっとその歌を磨いてコンサートをやろうよ。僕があちこち走り回って森の動物たちを集めてくるからさあ」
この企画は大当たり、森の仲間からお礼にと沢山の食べ物を貰ってハッピーエンドに
なりました。
以上の追加の物語を発想させるのに「TOC全体最適のマネジメント」の手法が使われています。

その手法は三つの道具から成っています。
1.「ブランチ」 : ごちゃごちゃした現実をスッキリと整理する道具。
*理論的に考える。
2.「クラウド」 : もやもやを解消する道具
*「するか」「しないか」などの対立するジレンマを見つけて、整理する。
3.「アンビシャス・ターゲットツリー」: 目標を実現する道筋を見つける道具
*目標に向けて取り組む順番を明確化

例えば、キリギリスには、「アリのようにせっせと食糧を集めるような仕事はしたくない」
と「歌って遊んで楽しみたい」という対立するジレンマがあります。
共通する目的は、当然「楽しくずっと過ごしたい」ということですから、

次の4つの行動が発想されます。
・最少で、どのくらいの食糧があれば足りるのかを調べて、少し働く。
・冬の食糧がないという常識があるが、冬でも採れる食糧を新たに探す。
・食糧を貯めることを仕事としてではなく、ゲーム化して遊びにする。
・キリギリスの得意の歌を皆に聞かせて、料金を取る。
このように、自前の能力を再探査して活かすことにした訳です。
言い換えると自社の製品の性能や魅力、機能やサービス、強味等を再評価し直して、少し磨いてうさぎとキリギリスは負け組 市場にデビューさせるということです。

<逆転の発想の仕方>

皆で考えて、思いもしなかったような発想を生み出すためには、プラス発想では難しいそうです。
人間は有史以前から知能が発達するプロセスで、出来ない、怖い、襲われる、落っこちる、心配だと悉くマイナスの理由を積極的に脳に巡らせてきました。
マイナスの発想は、辛くて、刺激的で、不安で、気分が悪くなります。
このため、側頭葉の記憶の保管庫の出し易い所に置かれます。
何か不測の事態があった時、即時に対応するにはこれらの記憶が有効です。
森で熊や虎など身の危険のある敵との遭遇の時、逃げる、武器を探して戦う、木に登る、隠れる、火で脅す、大きな音を立てるなどの対処法を思いつかなくては生き残れません。
マイナス思考は、厳しい自然条件の中で鍛えられた発想法だったのです。
ところが日本には、言霊という考え方があって、マイナスのことを口にするとそのように実現してしまうとか、「そんな事、言ってはいけない縁起でもない」と頭から、発想の種を摘み取って
しまいます。
およそ新聞でもテレビでもニュースと云えば、事故だ、不正行為だ、不況だ、殺人だとマイナス情報ばかりが扱われます。
これは、人間の脳の仕組みそのものの要求に沿ったものでした。
他の動物と比べて圧倒的な知性を勝ち得たのもすべてこのマイナス発想のお蔭なのです。
そこで、新しい発想が欲しい時は、みんなでニコニコしながら前向きにマイナス要因を挙げてゆくのです。
マイナス要因が出尽くしたところで、整理してその対応を冷静に辿ってゆくと、矛盾点や
こじ付け、思い込みなどに気付きその過程で、新しい「逆転の発想」が飛び出す訳です。

そのような知恵を出す会議やグループディスカッションの場で大事なことは、参加者が
リラックスしていなくてはいけません。
緊張感や威圧や人物評価などの要素が感じられたら、新しい発想は出てきません。
無礼講で明るい気分フローの状態であることが絶対必要条件です。

私たちが生きているこの現代は、過去に例がない程、色々な分野がほとんど爆発的に
進歩している特異な時代です。通信、エネルギー、工業技術、遺伝子工学、医療、その中の脳科学も長足の進歩をしています。
物事を考えたり、発想したりも脳科学に裏付けされた手法が主流になり始めています。

頭脳環境を如何に柔らかくできるかがビジネスの世界では重要な時代になってきました。
そこでオーガニックコットンの普及を考えるのも新たな発想が必要と思い、
「オーガニックコットン」のマイナス要因を思い浮かべてみましたが、ほとんど浮かんで
きませんでした。
頭の柔軟性の悪さを痛感して落ち込みました。
皆さん思い付いたら是非お知らせください。

平成26年6月25日               日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男