「風で織るタオル」というキャッチフレーズをすっかり定着させた感のある池内タオルですが、 とうとう世界的な認証WINDMADEまで取得することになりました。

この認証は、国連が進めているGlobal Compactの活動の一環として認められている認証ラベルで、本部はベルギーのブリュッセルにあります。「国連グローバルコンパクト」と聞いて、世界の経済活動をコンパクト(縮小して)にして、環境優位に導く運動かなあと思っていました。ところがCOMPACTには「協定」という意味があって、人権、労働、環境、腐敗防止という4つのテーマで10の原則を打ち出し、それぞれの分野で世界に指針を示しています。その原則9に「環境に優しい技術の開発と普及」があり、WINDMADEは、エネルギー分野を受け持っています。

さる6月25日に東京国際フォーラムで、地球環境保全団体のWWFの主催でWINDMADE特別セミナーが開催されました。

日本で認証取得第1号の池内タオルを中心に、ソニーの竹村氏、日本テトラパックの金井氏が加わり産業の各分野の再生エネルギー活用の見通しなどがパネルディスカッションされました。

池内社長は、この認証を取得するまでの経緯を会社の沿革にそって話されました。

社歴60年の後半の30年を受け持ち、ひたすら独自色を模索して、出た釘を磨くという経営方針でやってきました。確かに、沿革を見ると「業界初」という三文字がやたらと並んでいます。

新しい織機の導入、経営システムの導入、環境認証の取得などなど、常に業界に先駆けてきた意欲が伝わってきます。

環境にいいタオルというテーマで、これも業界初、1999年第1回エコプロダクツショーに出展しました。現在エコプロダクツショーの出展社数は700社を超えていますが、そのころはやっと288社と云う規模で、ほとんど環境専門家の集まりでした。

珍しくタオル会社が「環境!環境!」と騒いでいるので、一言二言、突っ込んでやろうという人物まで現われました。

「説明を聞いて、環境配慮は判った。だが機械を動かす電力が石油や石炭の汚い電気じゃしょうがない」と言い放ったそうです。

池内社長はこれに反応して、早速風力発電の導入に踏み切りました。そして風力発電利用のラベルを製品に付けて販売を始めると、今度は弁理士から商標違反になると通告を受けて、池内社長自ら百貨店の売り場を回ってそのラベルの取り外し作業をしたとのことです。

百貨店側からは、何か代わりのラベルを付けるよう要求され、止む無く「風で織るタオル」の商標を取り、独自ラベルを作り,製品に付けて今日に至ります。

そのキャッチフレーズが、環境配慮の時代に差し掛かり大いに受けました。小泉政権時代には、総理の国会答弁で池内タオルの取り組みが紹介されました。

それからというものは、次々とテレビ出演の話があり、先進する異色経営者として引っ張り凧になりました。

そして、2003年、会社の危機がやってきます。ブランドタオルの問屋のOEM生産を経営の柱にしていたため、その問屋が倒産すると、池内タオルもそのまま経営危機に陥りました。なんとか立て直しましたが、それが切っ掛けで、自社ブランドIKTの生産に大きく舵を切りました。

積極的に海外にも打って出て、ニューヨークのホーム・テキスタイル・ショーで表彰されてからはIKT ブランドは、世界に視野を広げるようになりました。

池内社長は、日本のタオルの品質は、世界一と言い切ります。中小企業でも独自性を持てれば世界のブランドとして広げることができる。これは一つのビジネスモデルとして参考にしてほしいと言われました。

池内社長は、以上のエピソードのように突っ込まれたり、足を引っ張られたり、危機に直面すると俄然元気が出るタイプの方で、正に「風が吹くとパワーが出る」会社に育て上げた訳です。

苦しく見えるトラブルでも、これこそジャンプ・アップのチャンスだと見る。風見鶏はいつでも風上の方向を指し、目を逸らさない前向きさがこれからの時代、大事になります。

池内タオルの社長のお話は仕事だけでなく、人生の生き方の上でも大変参考なりました。

平成25年9月9日

日本オーガニックコットン流通機構

宮嵜道男