コラム 2020 NO.1 「SDGs・グローバル・ゴールズの威力」
SDGs・グローバル・ゴールズの威力
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックのための準備が着々と進められています。
隈研吾氏デザインで木材をふんだんに取り入れることで注目されています。
ところがその木材の中にインドネシアで違法伐採された木材があるという指摘を環境団体から指摘されてしまいました。
東京五輪のメインテーマにグローバル・ゴールズがあって、大変残念なニュースです。
違法伐採は、資源の有効活用や貧困撲滅問題に繋がっていて、立派なお題目を掲げながら、調達の隅々まで目が行き届いていない現実が明らかになったのです。
このように、単にお飾りのようにグローバル・ゴールズを採り入れるのは却って問題を引き起こす可能性があります。しっかりとしたビジョンと共に、具体的な方策まで落とし込んで取り組まなければならないという分かり易い「例」となってしまいました。
近年のオリンピックの特徴は、国際大会という位置づけで、環境保全、フェアトレード、サステナビリティなどエシカルなテーマで大会が運営されてきていることです。
2000年 シドニー : グリーンゲーム、環境ガイドラインを作った。
2004年 アテネ : UNEP(国際環境計画)と組んで環境保全をテーマにした。
2008年 北京 : グリーンオリンピックとして、大気汚染や環境汚染をなくす取り組みをした。
2012年 ロンドン : フェアトレード、サステナビリティ、地産地消などのエシカルのテーマで推進した。
2016年 リオデジャネイロ: 持続可能な生産と消費というテーマだった。
次回の東京五輪の目指すテーマは、国連のSDGs通称、グローバル・ゴールズ(SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)
グローバル・ゴールズは、2030年までに、地球環境を保護し、貧困をなくし、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにするという「17の目標」に向かって世界中が協力してゆこうというものです。
国連が2016年から始めて今年で3年目になります。なかなかこの目標が一般に浸透して行きませんでしたが、マスコミが2020年開催の東京オリンピックとの関連で話題にするようになってきて、やっと各業界でも会話の中に当たり前にグローバル・ゴールズが語られるようになってきました。
今後は、グローバル・ゴールズのいうサスティナビリティ・持続可能性のテーマを外して国際的なイベントを推進してゆくことができない時代になってゆきます。具体的には、選手たちへの食事内容も使う衣類やシーツやタオルなども一つ一つサステナブルかどうかの物差しに当てて選んでゆきます。
欧米のアパレル業界では、NPOなどが主導して社会の環境への負荷を軽減するために、SAC(サスティナブル・アパレル連合)やテキスタイル・エクスチェンジなどが、よりよい選択をするよう運動しています。これに伴ってオーガニック認証も盛んになってゆきます。
当NOC日本オーガニックコットン流通機構の運動は、正にグローバル・ゴールズの主旨に適った活動です。
以下17の目標を列挙します。
目標1 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2 飢餓をゼロに
目標3 すべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4 すべての人々に教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性の活性を図る
目標6 すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する
目標7 持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8 すべての人々のための雇用および尊厳ある仕事を推進する
目標9 インフラを整備し、持続可能な産業化を推進する
目標10 国内および国家間の不平等を是正する
目標11 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する。
目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14 海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15 森林の管理、砂漠化、土地劣化の阻止、生物多様性の維持
目標16 公正、平和かつ包摂的な社会を推進する
目標17 持続可能な開発に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する
文責:日本オーガニックコットン流通機構 顧問 宮嵜道男
平成31年4月18日