TE ファイバーレポート2013

TE(テキスタイルエクスチェンジ)
オーガニックコットン綿の絵
ファイバーレポート2013

2013年、昨年のオーガニックコットンの生産量が報告されています。

TE(アメリカ)は毎年、世界のオーガニックコットンのマーケットレポート(市場動向)とファイバーレポート(綿花生産状況)を 発表しています。
ファイバーレポートは、北半球と南半球で収穫時期が異なるため、毎年8月末頃になります。

まず2013年の生産量からみてゆきましょう。
一昨年の2012年、生産量が減ってきて心配していましたが、2013年は更に大きく落ち込んでしまいました。
10万9,826トンでなんと21%もの減退です。
昨年予測した数字が13万6,000トンでしたから、その落ち幅の大きさに関係者たちは
驚かされました。

<オーガニックコットン生産国のトップ10の推移>

 2008-0909-1010-1111-1212-13
1位インドインドインドインドインド
2位トルコシリアシリアトルコ中国
3位シリアトルコ中国中国トルコ
4位タンザニア中国トルコタンザニアタンザニア
5位中国アメリカアメリカアメリカアメリカ
6位アメリカタンザニアタンザニアマリブルキナファソ
7位ウガンダウガンダエジプトペルーエジプト
8位ペルーペルーマリウガンダマリ
9位エジプトエジプトキルギスタンエジプトウガンダ
10位ブルキナファソマリペルーブルキナファソペルー
生産量
(トン)
209,950241,697151,079138,813109,826

上記の表で見るように、中国が、初めて2位にランクされました。
昨年よりも27%も生産量を増やしています。中国は、輸出の伸びと同時に国内消費も
伸びてきています。
一方トルコは減産しています。
中央アジアのタジキスタンは、生産量は極く小さく、トップ10には入れませんが、高品質の
オーガニックコットンの生産に集中している点は注目出来ます。
繊維長40mm以上の超長綿をハイエンドマーケットに照準を向けて開発しています。

現在、東西アフリカのオーガニックコットン生産は安定的になってきて、世界の生産量の8%を占めるようになってきました。
ORGANIMARK、HELVETAS、PAN UKの指導の下、エチオピア、ケニア、マダガスカル、モザンビーク、ザンビアなどの国々で生産に力が入っています。
将来はアフリカがオーガニックコットンの一大生産地になる可能性が見えてきました。
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2009年、2010年までは順調に生産量を伸ばしてきたオーガニックコットンでしたが、2008年のリーマンショック金融危機後、経済は縮小して、消費者のエコ意識も薄らぐほどでした。
また、GMO(遺伝子組み換え)の種が席巻して、オーガニックの種の入手が困難になり
栽培農家が、他の農産物に移行しました。
更にオーガニックコットン生産有力国のシリアが内戦状態になって実質生産量がゼロになったりと、矢継ぎ早にマイナス要因が起きてしまいました。
天然繊維全体としては、3%程度の減産、一般の綿の生産量も、4.1%の減産となっていて、
気象が不順な面も見られています。
<いくつかのマイナス要因>
農業者は、毎年何を栽培するかを考えます。オーガニックコットンもその中の一つの選択肢であって、メリットが少なくなれば、他の有利な農産物に移行してしまいます。
実際、オーガニックコットンの栽培を始める場合、従来の肥料や農薬を使わないため、
その農業者にとって新しい技術であり、学び・習熟しないと予定した量の収穫が出来ず、
所得収入を減らすというリスクを負います。
また、GMOの問題で、最も重要な種の入手が困難となり、天候不順で食用農産物の価格相場が高くなってくると、オーガニックコットンの栽培を続けることの理由がなくなってしまいます。

いくつかの大手ブランドでは、ベストのエコ素材であるオーガニックコットンに対して、一般のコットンよりもエコロジーの面でベターな栽培基準の上で生産し、販売にその点をアピールしてゆくとしたところも出始め、オーガニックコットンの需要増進の足を引っ張っている事実もあります。(ベターコットンイニシアティブ)

以上のような困難がある中で、これらの問題を解決してゆこうという活動も現れて来ています。

2012年に、TEが、OCRT(Organic Cotton Round Table)という組織を進めました。
関係者が集まってオーガニックコットンの成長を阻む壁を打ち倒す研究です。
テーマを3つに分けて研究しています。
1つは、非GMOの種の供給問題、2つ目は、ビジネスモデル、3つ目は消費者の認知度アップ
です。
早速その成果が表れてきました。
1 種の問題は、専門家が集まり、世界のオーガニックコットンの種の在庫実数調査を
しています。
また、種の開発を行い、そのプロジェクトに協力しているのは、Louis Bolk Institute、FiBL、AgriLife、Eileen Fisher、Bayerなど有力な組織群です。
実際に栽培実験もInditexの支援を受けてChetna Organic、Mecillaが行っています。
2 ビジネスモデルの問題は、まず最初に、大手のブランドと小売企業そしてC&Wの基金が
プロモーションを行い、引き続き中小のブランドや小売企業がプロモーションを行い、また大小が協力し合って新しいチャンスを探しています。
3 消費者の認知問題では、消費者がオーガニックコットンについてより深い理解をしてもらうために、各企業がマーケティングとコミュニケーションを駆使して方法を探索しています。

オーガニックコットンの減産の不安がある一方、オーガニックコットン製品の市場は、順調に拡大していて、2012年から2013年にかけて前年比で30%も伸ばしています。
いくつかのブランドは、2020年までには、取り扱う綿製品はすべてオーガニックコットンに
すると表明しています。

TEは、オーガニックコットンでは初めてのLCA(Life Cycle Assessment)のデーターを
揃えます。
この件ではISOの認定レポートとして来たるポートランドの会議で発表されることに
なっています。
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以上、レポートの要点を列挙しました。
オーガニックコットンの考え方は、どれほどの景気減退があったにしても、後戻りできるものではありません。
地球環境保全の問題や農場で働く人々の尊厳を守る、そして利用する消費者の安全に配慮するなどオーガニックコットンの特徴は、消費者意識の中で益々鮮明になってきています。
そのためにもオーガニックコットンを栽培してくれる生産者の皆さんに
エールを送りましょう。

平成26年9月25日
日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男

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